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「揺さぶられっ子症候群」でも本当に揺さぶられたかは分からない

誰もが一度は聞いたことのある
「揺さぶられっ子症候群」ですが、
揺さぶった事実の有無に関係なく
この症状が医者によって診断されているということは、
ご存知だったでしょうか。

ニュースでよく
「激しく揺さぶるなどの虐待をした疑いがある」
として、虐待の報道を見かけますが、
これは、医者が、揺さぶりの事実の有無に関係なく、
揺さぶられっ子症候群の診断を行ったことを反映して、
このような文言での報道がなされているのです。

実際、医者は、その子どもの家族でもない限り、
家庭での様子は分からないはずです。
つまり、揺さぶった・揺さぶってないは分からないのに、
どうやって、「揺さぶられっ子症候群」を診断しているのでしょうか。

アルゴリズム化された診断

実は、「揺さぶられっ子症候群」の診断はアルゴリズム化されています。
つまり、決まった診断方法で、機械的に「揺さぶられっ子症候群」と、
名前をつける
ことが決まっているのです。

そのアルゴリズムは、
「子ども虐待対応医師のための子ども虐待対応・医学診断ガイド」 の「SBS/AHT の医学的診断アルゴリズム」に記載されています。

そのアルゴリズムによると、
次の場合は揺さぶられっ子症候群の可能性が極めて高いと判断されます。

  • 硬膜下血腫・網膜出血・脳浮腫が認められる
  • 3m以上の落下事故ではない
  • 交通事故ではない

一番上は、揺さぶられっ子症候群の典型的な症状とされていますが、
実は、他の原因でも十分に生じうることは、下の記事で書いたとおりです。

clean-copy-of-onenote.hatenablog.com

そして、わざわざ除外要件として3m以上の落下や、
交通事故を含めていますが、
そもそも、そんな大事故があれば、一目瞭然でしょう。
こんな除外要件を書くこと自体がナンセンスなのです。

人は長い文章に尤もらしさを感じるというバイアスがありますが、
無駄な除外要件を後ろに付け加えることで、
アルゴリズムを尤もらしく見えるようにしているのではないでしょうか。

揺さぶられっ子症候群はただの名前

上の診断アルゴリズムを見れば、
「揺さぶられっ子症候群」というのは、
「硬膜下血腫・網膜出血・脳浮腫」をまとめた
名前に過ぎないように思えます。

実際、アルゴリズムの中を見ても、
「揺さぶった」かどうかは診断の基準に入ってません。

「揺さぶられっ子症候群」とは名ばかりで、
「揺さぶり」の有無に関わらず、
「硬膜下血腫・網膜出血・脳浮腫」の別名として、
「揺さぶられっ子症候群」のラベルを貼るというのが、
診断アルゴリズムのしていることです。

診断名の悪意

診断の中身を見ると、
揺さぶったかどうかは関係なく、
硬膜下血腫・網膜出血・脳浮腫」の症状が見られることを、
総称して「揺さぶられっ子症候群」と呼んでいることがよく分かります。

ところが、この診断名には「揺さぶり」という言葉が入っているがために、
診断の基準になかった「揺さぶり」がまるで本当にあったかのように、
受け取られます。

そして、この診断名を見て、「揺さぶり」という虐待行為があったのだとして、
児相や警察が動くのです。

なるほど、揺さぶり関係の虐待を疑われた事件が、
最近、立て続けに無罪となっているのも納得できます。

ただの診断名としての「揺さぶり」に、
事実の「揺さぶり」が伴っていないのです。

診断アルゴリズムに出てきているAHT(Abusive Head Trauma)も同様で、
虐待(abuse)の文字を診断名に含めています。
診断基準の中には、虐待があったか否かなど含まれていないにも関わらずです。

まとめ

診断の中身を見てみれば、
「揺さぶられっ子症候群」は、
「揺さぶり」の有無に関係なく診断されることが分かります。

ところが、診断の中身を知らない、一般人、
また、児相・警察などは、診断名に含まれる
「揺さぶり」から虐待を連想します。

「揺さぶられっ子症候群」は、
「硬膜下血腫・網膜出血・脳浮腫」の総称に過ぎず、
揺さぶられた子ども以外にも当てはまってしまいます。

このような悪意のある診断名をつけることが、
虐待の冤罪を作り出してしまうのではないでしょうか。

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