クイックノート

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少子化と育児難の負のスパイラル

社会問題の中には、
坂道を転げ落ちるボールのように、
一旦進み始めると加速度的に発展していく問題があります。

そのような問題に共通するのは、
問題が進むことに連れて、
自身でその問題を加速させるような、
いわゆる負のスパイラルの構造を持っているということです。

現代の代表的な問題として、
少子化が挙げられますが、
この少子化も負のスパイラル構造を持った問題です。

二輪の負のスパイラル

少子化の原因は様々に考えられますが、
ざっくりと言ってしまえば、
個々人が子どもを育てることへのモチベーションが下がることが、
原因と言えるでしょう。

では、どのようにしてもモチベーションが下がったのでしょうか。

もちろん、時代に伴う価値観の変化というのもあるでしょうが、
育児がしにくい状況もモチベーションを下げることに繋がります。

この育児難と少子化には、負のスパイラル構造が存在して、
放っておくと、落ちるところまで落ちていきかねません。

深刻な問題になると、何重もの負のスパイラルが絡みあってきますが、
少子化に関しては、大きなスパイラルとして2つが考えられます。

1つは、政治的な負のスパイラルで、
2つめは、社会意識上の負のスパイラルです。

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政治的な負のスパイラル

少子化ということは、子どもの人数が少ないだけではなく、
子育てを行なっている家族や、
それに関わる人たちの人数も少ないということです。

相対的に、高齢者は増えており、
その家族や、それに関わる人達は多数派となっています。

子どもや高齢者はどちらも、社会保障の対象となる人達ですが、
その社会保障をどのように配分するかは、
政治によって決められます。

一方で、政治家は選挙で勝つために、
多数派のためになることをしなければなりません。

したがって、少数派である子どもよりも、
多数派である高齢者に対する支援を行う政策が進められるようになります。

どちらかを優先するということは、
片方をある程度諦めることになるので、
子どもに対する支援は抑えられることになります。

結果、子育てをしやすいような環境を提供する政策は実現が難しく、
環境が整わないなら子育てはしないという選択をする人が増えてしまいます。

すると、少子化が進むので、
さらに政治的に不利な立場へと追い込まれるのです。

社会の負のスパイラル

子どもというのは「泣きもするし、騒ぎもする」ものです。
親のしつけ云々の前に、その大前提を親だけではなく、
社会を構成する一人一人が理解していなければなりません。

ところが、少子化の状況下では、
子どもは珍しい存在となってしまいます。

子育てに関わらない人は、
「子どもを知らない」人になってしまいます。

もちろん、誰にだって子どもの頃はあったとか、
今は子どもは一人立ちしたけど、子育ての経験があるから、
子どもを知らない訳ではないという人もいます。

ところが、人は忘れる生き物です。
自身に都合のいい思い出しか頭には残りません。
普段から絶えず子どもに接していない人は、
真に子どもを知っているとは言えないのです。

社会において子どもが「珍しい存在」となると何が起こるでしょうか。

「子どもは騒ぐもの」「子どもは泣くもの」という常識が、
社会で理解されなくなっていきます。

そうすると、「あんなに子どもが泣いてるのはおかしい」
「あんなに騒ぐのは親のしつけがなっていないからだ」
と間違った理解をするようになります。
こうして社会は子どもに不寛容になるのです。

このような状況では、子どもを連れて、
自由に外に出歩くこともできなくなります。
すると、子どもは家庭内に閉じてしまい、
「子どもは珍しいもの」が加速していくのです。

こうして、子育ては社会から押し出され、
育児をする環境は失われていき、
少子化にさらに拍車をかけることになるのです。

まとめ

少子化を加速させる2つの負のスパイラルについて考えました。

こうした負のスパイラルは一度回り始めると止めるために、
非常に大きな労力が必要となります。

回り始めた歯車は、もう戻らないかもしれません。

たとえ、この大きな流れを止めることはできないとしても、
身近で小さな変化を起こすことを可能です。

できることは身近なところから、
気づきを大事にして行動していきたいですね。

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