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空はなぜ紫色ではなく青色なのか

「どうして空はこんなにも青いのか」 f:id:u874072e:20190703125720p:plain

詩で出てきそうな一文ですが、
この謎を真面目に考えてみます。

空が青い理由はよく次のように説明されます。
「波長の短い青色の光は大気で散らばりやすく、
 波長の長い赤色の光は直進しやすいため、
 青色の光が地表の私たちの元に多く届くから空は青く見える」

光の色を波長で分解したものは、光のスペクトルと呼ばれます。
下の図では、左側ほど波長が短く、
確かに青色は波長が短いことがわかりますが、
良く見てみると紫色の方がさらに波長が短いことが分かります。

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光のスペクトル(左ほど波長が短く、右ほど波長が長い)

すると、ここで次のような疑問が浮かびます。
「紫の方が波長が短いのに、なんで空は紫色ではないのだろう」

ここでは、この疑問に至極単純なモデルで答えることにします。

様々な色が目に届く

私たちが日中見ている太陽の光は白色です。
しかし、上のスペクトルで見たように、
光は分解すると実に様々な色が含まれていて、
それが合成されて太陽の白色になっています。

つまり、私たちの目には様々な色が届いていて、
私たちは、それら色を合成した色を「見ている」のです。

空の色についても同様に考えてみましょう。

波長の短い色ほど私たちの目に入りやすいということは、
単純に考えれば、紫色は一番目に入りやすく、
続いて、青色、緑色と続くと考えられます。

そうすると、下の図のように、空の色の中には
紫色が一番多く含まれていて、
青色が2番目に多く含まれるという風に
それぞれの量の違う色が含まれているでしょう。

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空の色の成分量(単純なモデル)

実際には、図のように成分量が綺麗に直線的に減衰しないでしょうが、
ここでは、単純化して考えることにします。

紫が多くても紫にはならない?

ここでポイントになってくるのは、
紫色を一番多く含むからと言って、
それぞれの色を混ぜた色が紫っぽいとは限らないということです。

実際に上のような成分量に従って、
色を合成してみたのが下の図です。

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合成した空の色

成分として、どこまでの波長を含むかを変えることで、
合成される色が変わってきます。
そのため成分量を変えた4通りの合成パターンを示してみました。
図の下のラベルは、合成するときに
何nmの波長から成分を0にするかを表しています。

400nm 程度だと、成分としてもほぼ紫なので、
合成した色も紫になりますが、
500nmや600nmまで含むと、合成した色は青色に見えます。

もちろん、どの合成した色も、紫が一番多く含まれるのですが、
紫、青、緑と量を減らしながら合成した色は、
青に近い色になるということが分かりました。

つまり、空の色には波長の短い紫色が多く含まれていたとしても、
他に含まれている色との合成で結局青っぽい色になるというのが、
空の色が紫ではなく青色であることの説明になると言えそうです。

まとめ

「波長の短い青色の光が空気中散乱して地表に届くから空は青い」
というよくある説明に対する疑問として、
「どうして青より波長の短い紫色ではないのか」
という問いについて考えてみました。

色の混合を考えると、例え紫が多く含まれていても、
合成すると青色になるのでしょうね。

余談ですが、成分を変えながら合成した色は、
カラーパレットとしても使えそうです。

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