毎年のように「記録的な暑さ」というワードがニュースで流れてきます。
気温が40度前後に達したというニュースを見るたびに、
昔もこんなに暑かったっけと、ふと考えることがあります。
「今は昔よりも暑い」こんな声もよく耳にします。
地球温暖化が問題視され始めてから何年も経ちますが、
本当に、昔よりも暑くなったのでしょうか。
ということで、
気象庁のデータを元に、
「昔よりも暑くなった」は本当かを検証してみましょう。
調査方法
気象庁では測定した気象データを公開しています。
今回は、昔よりも気温が高くなっているかを調べたいので、
下のページから年毎の観測データを取得します。
最高気温の変化
「昔より暑くなった」という言葉は、
「昔の夏より、今の夏の方が暑い」というように、
夏を意識して暑くなったと言っていると考えるのが自然です。
つまり、もともと暑い日がさらに暑くなったということですね。
そこで、年間で最も暑い日の気温が年毎にどのように変化しているかで
「昔より暑くなった」が本当かを検証してみましょう。
下のグラフは、年間の最高気温を年毎にプロットしたものです。
青線が気温のデータを表しており、
赤線は線形回帰の直線を表しています。
データを見ると、確かにトレンドとしては右肩上がりの傾向が見えます。
急増後横ばい
グラフは1900年よりも以前というまず誰も経験したことのない時から
表示していますが、ここ最近の変化に注目してみましょう。
グラフをよく見ると1994年前後でトレンドが変化しているように見えます。
1994年までは34〜35度を辺りを中心に変動していたのが、
1994年以降では36度の辺りを中心に気温が変動しています。
下のグラフでは、1994年の前後でグループを分けて
トレンドを引いたものです。
1994年を界に、一気に気温が上がり、
その後はほとんど横ばいの傾向が見えます。
「昔は今より暑くなかった」の「昔」が
1994年より前を想定している人はデータと照らしても正しそうです。
一方で、10年前と比べて今の方が暑いというのは、
大きな傾向としての変化ではなく、
年毎の気温のブレによって、
たまたま気温の低かった年のことを思い浮かべているだけかもしれません。
最低気温の変化
上では最高気温の変化をみたので、
最低気温の変化もみておきましょう。
つまり、一年で一番寒い冬の日の気温が
年毎にどのように変化したかをみることになります。
下のグラフは、各年の最低気温をプロットしたもので、
青線が観測値、赤線がトレンドです。
最高気温に比べて最低気温の方は、
よりはっきりと上昇の傾向が見えます。
直近では気温低下の傾向
こちらも、2000年あたりからの直近の傾向に注目してみましょう。
すると、それまで上昇傾向から一転して、
ここ数年は最低気温の低下傾向が見えます。
「ここ数年で冬が寒くなった」と言っている人は、
正しいと言えそうですね。
まとめ
「昔より暑くなった」が本当かを確かめるため、
年毎の最高気温をグラフ化しました。
結果としては、1994年辺りを界に気温は一段と高く
最高気温は上がり、最低気温が下がるということは、
夏はより暑く、冬はより寒くなりつつあるとも言えるので、
衣服などに気をつけて夏も冬も対策していきたいですね。