電力の自由化に伴って、
様々な会社が独自の電力プランを提供できるようになっています。
その中でも、大阪ガスが、一風変わった電力プランの提供を開始しました。
「スタイルプランP」と呼ばれるこのプランでは、
電力の契約と一緒に、Amazonの有料会員「Amazonプライム」のメンバーになる権利が付いてきます。
通常だと、Amazonに有料会員となるための料金を別途支払う必要のある「Amazonプライム」ですが、
この「スタイルプランP」だと、追加料金なしで利用できるので「おトク」という風に謳われています。
でもこのプラン本当にお得なのでしょうか?
既存のプランにそのままAmazonプライムの得点を付いてくるなら確かにお得ですが、
わざわざ「スタイルプランP」と新しいプランを打ち出しているからには、
料金体系も変えているじゃない?と疑わないといけませんね。
実際、その通りで、「スタイルプランP」は他の大阪ガスの電力プランと比べて、
料金割増のプランとなっているのです。
では、この料金割り増しの分も含めて、
Amazonプライムが付いてくるというのは本当にお得なのでしょうか?
この記事では、その疑問を調べていきます。
結論から言えば、お得ではないので、Amazonプライムを利用するなら、
大阪ガスとセットではなく個別に登録しましょう。
電気料金
実際、「スタイルプランP」だと、電気代はどれだけ割増になるのでしょうか。
下の表は、大阪ガスの公式サイトで掲載されている(2018/8/23現在)
電気料金の価格設定表です。
上側が、ガスと電気をセットで利用した場合の料金で、
通常利用するプランだと考えられます。
下側が、例の「スタイルプランP」の料金です。
料金表を使った電気料金の計算方法は下の記事を参照して下さい。
clean-copy-of-onenote.hatenablog.com
最低料金の差
まず見るべきは契約に対して固定で発生する「最低料金」です。
電気を使わなかったとしても、少なくともこの額は毎月支払うことになります。
アマゾンプライムの月額と比べるにも分かりやすい部分ですね。
この最低料金は、
「ベースプランA-G」の場合は、約280円で、
「スタイルプランP」の場合は、580円となっているので、
「スタイルプランP」の方が、少なくとも月300円多く支払うことになります。
「Amazon プライム」の料金は年間支払いの場合は、年3900円なので、
ひと月当たり、325円となります。
この時点で、「スタイルプランP」のお得感はほぼないことが分かりますね。
「スタイルプランP」を利用すると、電気を全く使わないとしても、月300円多く支払って、
月325円の「Amazon プライム」が付いてくるということになります。
その差額はわずか25円です。
しかも、「スタイルプランP」では電気の単価も高く設定されているので、
ある程度電気を使えば、むしろ損になることが容易に予想できます。
電力使用量も含めると損!?
続いて、電気の使用も含めた料金で比較しましょう。
電力使用量は家族の構成人数やライフスタイルなど様々な要因で異なりますが、
ここでは、簡単のために、
一人暮らしの一月の平均電力使用量 213 kwh で考えてみます。
まずは、「ベースプランA-G」の場合です。
料金表と照らし合わせて、次のように計算すると、
279.82 + 19.95 × (120-15) + 24.45 × (213-120) = 4648.42 円
同様に、「スタイルプランP」の場合を計算すると、
580 + 20.19 × (120-15) + 24.53 × (213-120) = 4981.24 円
となり、その差額は、332.82円です。
つまり、一人暮らしの平均的な電力使用量だと、
「スタイルプランP」に移行することで、電気代が332.82円割増になって、
325円の「Amazon プライム」が付いてくるということになります。
損してますね。。。
何のために始めたプランなのか?
上で見たように、「スタイルプランP」は、
お得なプランではないようです。
というより、「スタイルプランP」と、
「通常のプラン」+「Amazon プライム」
の料金はほぼ同じです。
なので、料金だけ見ると、
利用者が得するわけでも、
大阪ガスやAmazonが得するわけではなさそうです。
では、なぜこのような無意味に見えるプランを始めたのでしょう?
コラボ効果
「スタイルプランP」の目的の一つは「コラボ効果」を期待しているものだと思われます。
よく別々の会社がコラボして、新しいキャンペーンをあれですね。
コラボすることによって、それぞれの会社がお互いに、
広告を打ち合うことになるので、
それぞれの会社の利用者がコラボ相手の会社に流れてくることになります。
特に、大阪ガスやAmazonのように関連の薄い会社同士がコラボすると、
今まで利用されてこなかった客層を取り込むことができるので、
お互いに得をすることになります。
恐らくはこのコラボ効果を狙ったプランなのでしょうね。
しかし、それに付き合わされる利用者にとって大したメリットがないというのは、
あまり褒められたものではないように思います。
まとめ
料金を調べてみた結果、
電気利用の少ない一人暮らしの家庭ですら、
「スタイルプランP」は損することが分かりました。
過去の記事でみたように、関西電力に比べて、
大阪ガスでんきの料金は低くなるのは確かなので、
「スタイルプランP」ではなく「ベースプランA-G」を選んで、
Amazonプライムが必要なら別途、そのまま登録するのがベストですね。