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Googlability を測る

最近、「来る」という映画が、
検索でかかりにくいということが話題になりました。

togetter.com

「来る」というキーワードは、
一般に使われる動詞なので、
「来る」で検索をかけても、
関係のないウェブページが大量に表示されて、
目的の情報を得られないというものです。

この検索のしやすさを「Googlability」と呼ぶようで、
「来る」という映画は「Googlability」が低いということになります。

ググる」のように動詞化するだけではなく、
性質を表す言葉も作られてしまうのですね。

商品や作品に興味を持った際に、
追加情報を得たくてGoogleで検索するということは良くあります。

その時に、思ったような情報が上手く得られないと、
商品、作品のイメージがダウンする可能性があるので、
この Googlability を意識するのは重要そうですね。

とはいえ、どんなものなら、 Googlability が高いと言えるのでしょう。

それが分からないことには、
商品、作品のネーミングを工夫するところにまでつながらないですよね。

最も単純な Googlability

Googlability を測る一番簡単な方法は、
キーワード検索でヒットした件数を見ることでしょう。

ヒットした件数が多ければ、たくさんの情報が溢れているので、
探している情報にたどり着くことが難しくなります。

そこで、単純にキーワード w のGooglabilityは、
キーワードを含むページ数 p(w) の逆数として測る方法が考えられます。

{\rm Googlability} = \frac{1}{p(w)}

ページの内容を考慮した Googlability

ただし、p(w) は、
実際に調べたい情報も、関係ない情報も区別なく、
キーワードが含まれたページ数なので、
単純に関連するページが増えるだけでも Googlability が下がってしまいます。

例えば、単に知名度が高い「ディズニー」で検索をかけると、
何億というページがヒットしますが、
恐らく多くは本当にディズニーに関連するページでしょう。

映画「見る」のように、全く関係ないページが検索にかかる場合と、
関係のあるページが多く検索にかかる場合では、
後者の方が Googlability は高いと言えそうです。

そこで、キーワードを含むページのうち、
実際に知りたい情報を含むページ数を f(w) として、
Googlability を次のように測ることが考えられます。

 {\rm Googlability} = \frac{1+f(w)}{p(w)}

ただし、f(w)は単にキーワードが含まれるかどうかではなく、
ページの内容が対象の情報にマッチしているかまで見ないといけないので、
簡単に測ることができなくなってしまいました。

ところで、商品がまだ世に出ていなくて、商品名を考える段階では、
関連するページは存在しないはずなので、f(w)=0で、
最初に考えた、単なるキーワード検索のヒット数の逆数に一致します。

つまり、商品・作品名を考える段階では、
一番上の単純な測定方法でも十分と言えます。

Googlability を上げる方法

では、Googlability を上げるにはどうすれば良いでしょうか。

オリジナルの言葉を作り出す

一つは、オリジナルの言葉を作り出すことでしょう。

まだ、誰も使っていない言葉で商品・作品名をつければ、
検索で、別のものと被ることもないので、
Googlability は高くなります。

ただし、オリジナルの言葉を作る際には、
覚えやすさと言葉の長さのトレードオフを考えないといけません。

一般に、シンプルで短い言葉の方が覚えやすいのですが、
短い言葉は他のワードと被りやすくなります。

逆に、複雑で長い言葉になると、
他のワードとは被りにくいのですが、
覚えにくくなり、検索されるというところまでたどり着かない可能性があります。

そのため、他と被らず、覚えやすいオリジナルフレーズを考えることになりますが、
これが結構難しい作業となります。

言葉を繋げる

オリジナルの言葉が思いつかなくても、
単純に、よくあることばを繋げるだけで、
検索結果は絞られていきます。

ただし、繋げることで言葉としては長くなるので、
一つ一つの言葉は分かりやすく、覚えやすいものにする工夫が必要でしょう。

これは、極端な例ですが、「小説家になろう」で公開されている
作品のタイトルが参考になるかもしれません。

例えば、「ここは俺に任せて先に行けと言ってから10年がたったら伝説になっていた。」
という作品が「小説家になろう」で公開されています。

出てくる単語はどれもよく使われる単語ですが、
他の情報とかぶることはまずないでしょう。

また、タイトルを全て覚えていなくても、
印象的な「10年たったら伝説」くらいを覚えていれば、
検索で作品にたどり着くことができます。

Googleは賢い

さて、映画「来る」は検索し難いということでしたが、
本当にそうでしょうか。

実際にGoogleで「来る」と検索してみると、
普通に検索トップに映画「来る」のホームページ、
それ以降のページも映画「来る」に関連するページばかりでした。

Google では、ユーザーが欲しい情報にアクセスできるように、
検索結果の表示に様々な工夫を入れています。

そのため、「来る」という一見Googlabilityの低そうに見えるタイトルでも、
案外、検索に引っ掛かってしまうのですね。

一方で、純粋にキーワードのマッチングで検索をかける検索では、
「来る」では上手く目的の情報にたどり着けないでしょう。

例えば、twitterの検索で「来る」を検索すると、
映画の話はほとんど出てこず、
とにかく、関係のない「来る」が結果として表示されます。

「来る」は、本当の意味でのGooglabilityはそこまで低くはないものの、
検索可能性は間違いなく低いと言えそうです。

Googlability が低いその他の例

検索し難いものは、他にも色々あります。

画像や音声

まず、そもそも言葉でないものは検索が難しいですよね。
画像検索は、曲検索などのサービスが出てきてはいるものの、
まだまだ、言葉での検索がメインと言えます。

プログラミング言語 R

言葉で検索しにくいものでは「R」というプログラミング言語があります。

「R」という一文字だと、何かの英単語の一部に含まれていて、
それが検索にヒットしてしまったりするので、
「R」というキーワードは、あってもなくても意味が無かったりします。

Google は賢いので、ある程度は目的のものを表示してくれますが、
それでも、検索し難いなと感じることが多々あります。

そのため、「R言語」として、検索する側で工夫することもあります。
ただし、これは、検索されるページを作る側も意識して
R言語」というワードを使ってくれていないといけないので、
根本的な解決にはなっていません。

まとめ

話題となっていたGooglabilityについて、
それをどのように測ればいいかを考えてみました。

基本的には、そのキーワードがどれだけ他のページで使われているかを、
検索結果を基に調べればいいだけなので、
新しい商品名や作品名を考える時は、このひと手間を大事にしたいですね。

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