水素水がブームになったのは記憶に新しいですが、
次のブームは電子水のようです。
ざっくりとは「電子が含まれた水」ということのようですが、
てことは、「イオン水」と何が違うの?
何に効果があるの?
どういうメカニズムで作用しているの?
とか、疑問がわいてきますね。
そこで、「電子水」について、
論文ベースに調べてみました。
「電子水」に言及している論文は沢山ある
まず、調べ始めて驚いたのは、
意外と多くの論文で「電子水」のワードが使われていることです。
「電子水」に対して否定的であれ、肯定的であれ、
電子水に言及している論文は多く存在します。
これは調べる甲斐がありそうですね。
調べた文献はこの記事の最後に参考文献としてリストアップします。
「電子水」は意外と昔から使われていた?
今話題になっているからには、
新しいものだと思っていたのですが、
実は「電子水」というのは昔から使われていたようです。
古くから農業や食品工業で使われてきた。
--- 文献[1](2000年)
↑のように、古い文献でも電子水に言及されていて、
さらに、古くから使われてきたと言われており、
別段新しいものというわけではないようです。
電子水とは何か
最近の「電子水」の説明を見ると、
水に電子を含んだもののように書かれていますが、
より正確にはどのようなものを「電子水」と呼ぶのでしょうか。
そこで、論文で「電子水」をどのようなものとして定義しているかを見てみましょう。
大地と絶縁された水に電場を重畳波として付与して 得られる水は電子水と呼ばれ
--- 文献[1]
大地と絶縁して、電場をかけているので、
電荷を帯びているという感じですね。
静電気を帯びた人体みたいなイメージが近いでしょうか。
電子水の効果
電子を含むことで、水がどのような効能を持つようになるのでしょうか。
ここでは、効果が働くメカニズムはともかくとして、
報告されている効果をまとめてみましょう。
食品への効果
電子水を使ったパンに含まれる水 は結合力が強く,製品の老化が遅れ弾力の強いパンと なることがが報告されている
--- 文献[1]
こちらはパンに使った例ですね。
弾力と製品寿命が延びるようです。
1993年の長雨と冷夏による異常気象の年においても、この水を散布した 農家の被害は軽微であった。また、イチゴやトマトの糖度が上昇したとの報告もある
--- 文献[2]
こちらは農作物の栽培における効果です。
災害に対して被害が軽微かどうかは正直、
偶然ではと思いますが。。。
人体への効果
電子水が人に与える効果についても報告があります。
電子水は,酸化ストレスを起源とする 多くの生活習慣病の予防および病態の改善に有用と考えられる。
--- 文献[4]
鉄が空気中で錆びていくように、
人体でも酸化が生じます。
普段は、酸化とその逆の抗酸化がバランスを保っていますが、
このバランスが崩れ、酸化に偏ると様々な症状が現れると言われています。
これを「酸化ストレス」と呼んでいます。
酸化とは、電子を失う反応なので、
外から電子を与えてやれば、酸化ストレスを改善できるのでは、
というのが、文献[4]の考え方で、
それを実際に実験して確認されているようです。
電子水のメカニズム
様々な効果を持つと言われている「電子水」ですが、
それがなぜ働くのかはどこまで分かっているのでしょうか。
未解明の部分が多い
結局は解明されていないことが多いということですね。
メカニズムははっきり分からないけど、
効果がいくつか報告されているから、
何となく使ってみようという感じでしょうか。
電子水の機能や作用機作について 基礎的なことは十分に解明されていない
--- 文献[1]
磁気水やアルカリイオン水については 種々の生理作用を示す科学的データが蓄積されつつあるが, その他の水については,おいしさとの関係は 必ずしも明確とは言い難いと思われる
--- 文献[3]
とはいえ、いくつかメカニズムに関する仮説的なものはあります。
粒が小さく吸収が良くなる説
水分子の粒単位(クラスター)が小さくなるため植物の体内に素早く吸収され、 作物の生長が促進されるといわれている
--- 文献[2]
電子水では、粒のまとまりが小さくなるのは確認されているようで、
これが、吸収を助けているのではないかという説があるようです。
体内への電子供給説
外部より電子を付加することで, ミトコンドリア内で発生する活1生酸素やチトクロームCなどの アポトーシス誘導物質の働きが正常化していく
--- 文献[4]
酸化に偏り電子が失われる体内に、
外部から直接電子を共有できるという説ですね。
酸化力が微弱な水であることが明らかになった
--- 文献[5]
ということなので、
電子水自身は普通の水に比べて酸化力が弱いことまでは事実のようです。
消化器からどのような経路で、
水に含まれた電子が体内の様々な箇所に運ばれるのかが不明ですが、
一応、人体で効果はあったというので不思議ですね。
参考文献
[1] 岩元睦夫. "話題の 「機能水」 の現状と課題." 日本調理科学会誌 33.4 (2000): 503-509.
[2] 秋好広明, et al. "強電解水の園芸作物への利用 (第 1 報): 強電解水の散布がトマトの生育および品質に及ぼす影響." (1996).
[3] 佐々木健, and 岩永千尋. "名水と水質評価." 日本醸造協会誌 92.10 (1997): 698-708.
[4] 小沼政弘. "酸化ストレス関連疾患と電子水適応の可能性." Pharma Medica 35.8 (2017): 92-98.
[5] 竹原淳彦, and 高島征助. "活性水の評価法に関する研究." 医科器械学= The Japanese journal of medical instrumentation 69.10 (1999): 564-565.