バーチャルYouTuber(VTuber)の間では、
長時間の生配信がメジャーとなっており、
時間のない人向けにファンの方が、
配信の一部を切り抜いた動画を投稿していることが多くあります。
切り抜き動画を投稿されている方の中には、
生配信終了後、驚くような早さで投稿されている方もいるようですが、
この投稿の早さは重要なのだろうかというのが、
今回のテーマです。
同じコンテンツを切り抜くので、
他のファンの人と同じような箇所を切り抜くこともあり得ると考えると、
直感的にはコンテンツが被った場合は投稿の早い方が有利でしょうか。
また、情報の鮮度という意味でも投稿の早い方が有利な気もします。
ということで、
投稿の早さと動画の再生回数に関係はあるのか、
調べてみましょう。
方法
YouTube Data APIを利用して、
YouTube上に投稿された動画の情報を取得します。
取得する情報
- 切り抜き動画の再生回数
- 切り抜き動画の投稿時刻
- 元動画の投稿時刻
用いる数値
APIから取得した情報を元に
以下の値を計算します。
- 投稿までの時間 = (切り抜き動画の投稿時刻)-(元動画の投稿時刻)
- 時間あたりの再生回数 = (切り抜き動画の再生回数) / (情報の取得時刻-切り抜き動画の投稿時刻)
元動画が投稿されてから切り抜き動画が投稿されるまでに経過した時間と、
再生回数の関係を調べます。
再生回数はAPIから動画投稿後の時間経過によって増えていくので、
経過時間で割ることで時間あたりの再生回数に注目することにします。
結果
散布図
まずは「投稿までの時間」と「時間あたりの再生回数」を
散布図でプロットして全体を眺めてみます。
なんとなく投稿までの時間が長くなるに連れて再生回数が下がるような傾向がありそうに見えます。
一方で、投稿までの時間はかなり偏っていて、
0〜20時間までの投稿は多いですが、
60時間以上経ってからの投稿はかなり少ないようです。
投稿までの時間の分布
投稿までの時間の偏りが分かりやすいように
ヒストグラムを見てみましょう。
半数は20時間以内に投稿されていて、
ほとんどの動画は48時間以内には投稿されていることが分かります。
数日かけてじっくりというより、
その日のうちか翌日には切り抜き動画を投稿するという場合が多いようです。
投稿までの時間と再生回数
それでは本題の投稿までの時間と再生回数の関係を見ていきましょう。
下のグラフは、投稿までの時間を一時間毎に区切って、
再生回数の平均値を示したものです。
大まかな傾向で見ると、
10時間経過までは再生数が増加し、
それ以降は時間経過と共に再生数が減るようです。
予想では、時間経過が不利に働くので、
時間経過と共に再生回数は減っていきそうに思いましたが、
最初の10時間までは逆の傾向が見えました。
早ければ良いという訳ではなく、
ある程度時間をかけて質の高いものが求められるということでしょうか。
日数の経過と再生回数
今度は、より長い時間のスケールで見てみましょう。
下のグラフは、投稿までの時間(日数)と再生回数を
箱ひげ図で表したものです。
一日以内に投稿された切り抜き動画は、
二日目、三日目に投稿された切り抜き動画よりも
上位25%, 中央値, 平均値, 下位25%点のいずれも高いことが分かります。
日数をまたぐ場合は、
予想通り時間の経過が単純に不利に働く傾向にありそうです。
まとめ
切り抜き動画の投稿の早さと、
再生されやすさの関係について調べてみました。
結果として、
- 投稿までの時間と再生回数にはある程度関係がある
- 日数をまたぐ(24時間を超える)と再生回数は減る傾向にある
- 早すぎる投稿はむしろ再生回数が減る場合がある
という知見が得られました。
なるべくその日の内の早い投稿が望ましそうですが、
質は犠牲にしないようにすべきでしょう。