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人狼でランダムに吊るとどっちが有利?

人狼とは、一種のゲームの名前で、
人狼チームと市民チームに分かれて、
話し合いをしながら、誰が人狼かを見つけるゲームです。

昔から根強い人気のあるアナログゲーム人狼ですが、
最近は【人狼ジャッジメント】等のアプリなども出ており、
デジタルなアナログゲームとして再注目されているように思います。

人狼では、毎回、
人狼と思われる人を投票して1人を処刑、
人狼側は市民を襲撃、
を繰り返し、人狼がいなくなるか、
人狼と市民が同数になるとゲーム終了です。

市民側は、話し合いの中で、
上手く人狼を見つけて投票するべきなのですが、
人狼側も言葉巧みに騙してきます。

この話合いによる駆け引きが、このゲームの一番の魅力ではありますが、
話合いの要素を除いたとして、毎回ランダムに投票した場合、
人狼側と市民側の勝率は何パーセントなのかは気になるところ
です。

この確率が人狼側と市民側のどちらかに偏っていれば、
人狼のゲーム自体に最初から陣営の有利不利があるということになります。

それでは、確率を計算してみましょう。

問題設定

本来、人狼では、様々な役職があり、
ゲームをより奥深いものとしてくれます。

ここでは、計算がしやすいように、
役職のことは無視して、市民と人狼がいるという単純な状況を考えてみましょう。

つまり、次のような問題を考えます。

N人のプレイヤーが人狼と市民に分かれていて、
人狼n人である場合、
毎回、ランダムに1人を処刑していくと、
市民が勝つ確率はいくらか。

人狼は投票の際に結託することも考えられるので、
完全ランダムな投票は実現できない可能性も高いですが、
ランダムな処刑であるとして考えます。

勝敗が付く条件

ゲームの終了は、市民側の勝ちか、
人狼側の勝ちの2種類があります。

それぞれ、勝利条件は異なっているので、
一旦整理しておきましょう。

市民側の勝利条件

市民側の勝利条件は、
その日の人狼の人数がゼロ人であることです。

d日目の人狼の人数をn_dと書くことにすれば、

 n_d = 0

が市民側の勝利条件です。

人狼側の勝利条件

人狼側の勝利条件は、
その日の人狼の数が市民の数以上になることです。

d日目のプレイヤーの人数をN_dとすれば、
市民の数はN_d - n_dなので、

 N_d - n_d \le n_d

人狼の勝利条件です。

人数の推移

人狼では、一日毎に、
投票による処刑と、
人狼による襲撃が繰り返されます。

今の場合、処刑はランダムで行われるので、
翌日d+1日目の人狼の人数は、
狼がランダムに選ばれれば、1人減り、
そうでなければ、そのままです。

 n_{d+1} = \begin{cases} n_{d}-1 \ ({\rm \  with \  probability} \frac{n_d}{N_d}) \\ n_{d} \ ({\rm \ otherwise}) \end{cases}

また、人狼による襲撃では、必ず市民側が一人犠牲になるので、
全体のプレイヤーの中からは2人が減ることになります。

 N_{d+1} = N_{d} - 2

ゲームの進行状況はこのN_{d},n_{d}で表すことができます。
ゲームがすすむにつれて、N_{d},n_{d}が変化していき、
最終的に上で述べた勝利条件が満たされたとき、決着がつきます。

では、決着がつくときにはどのような推移をするでしょうか。

市民側の勝ちへの推移

市民側が勝つのは最後の人狼を処刑した時、
つまり、

n_{d} = 1 でかつ、処刑で人狼を選んだ時

です。

そのため、残りの人狼が1匹という状態まで来ていれば、
残っているプレイヤーN_{d}の中からただ一人の人狼を選択する

 \frac{1}{N_d}

の確率で市民側の勝ちになります。

人狼側の勝ちへの推移

人狼側が勝つのは、市民の人数が人狼よりも1人か2人多い状態で、
市民を処刑してしまった場合です。
市民が2人多くても、処刑で1人、襲撃で1人犠牲となり、
市民と人狼が同数になってしまいます。

つまり、

n_{d} + 2 \le N_{d} - n_{d} でかつ、処刑で市民を選んだ時

です。

そのため、残りの市民の数が、人狼の数+2人以下という状態まで来ていれば、
残っているプレイヤーから市民を選択する

 \frac{N_d - n_d} {N_d}

の確率で人狼側の勝ちになります。

人狼が勝つ確率

人狼が勝つ確率は、
Nd,ndの確率的な推移を追って行って、
人狼が勝ちの状態に至る確率を計算すれば求まります。

手で計算するのは少々面倒なので、
コンピューターに計算させてみましょう。

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人狼が勝つ確率は、最初のプレイヤーの人数Nと、
最初の人狼の人数nによって変わってきます。

上のグラフでは、Nが同じものを線で結び、
右に行くほど狼の人数が増えるようにしています。
点が上にあるほど人狼の勝つ確率が高いことが分かります。

当然ながら、人狼の数が増えると人狼の勝率も上がる様子が見れますね。

よく使われる配役での人狼の勝率

全体の数と人狼の数のバランスによって、
人狼不利、市民側有利が変わってきます。

それでは、よく使われている配役ではどうでしょうか。

下の表のプレイヤー数と人狼数の組み合わせについて、
グラフ上で赤丸の点を打ってみます。

プレイヤー数 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
人狼 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 3 3 3 3 4

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グラフを見るとほとんどの赤丸が確率0.5以上、
つまり、ランダムに処刑した場合に人狼が有利 になっています。

ただし、実際には、占い師など、市民側に有利な役職が含まれてくるので、
この人狼有利のバランスが調整されて、ゲームとしての体裁が成り立っています。

プレイヤー数7人は良くない?

上のグラフだと、唯一、プレイヤー数7人のときだけ、
人狼の勝率が50%を切っていて、
市民側有利となっています。

ランダムに処刑しても市民側有利な状況に加えて、
通常だと、占い師など、市民側に有利な配役も含まれてくるので、
かなり市民側有利に偏る可能性があります。

どうしても、人数によって多少の有利不利が変わってくるので、
仕方がないことではありますが、
7人での人狼ゲームは避けるか、
配役を工夫して過度に市民有利に偏らないようにする工夫が必要でしょう。

いっそ、7人の場合は、ランダムに処刑しても5分5分に近いので、
人狼と市民以外の配役は何もないとするくらいがフェアかもしれません。
配役が少ないと、ゲームの面白みが減ってしまうかもしれませんが。。。

まとめ

人狼ゲームで、処刑する人をランダムに選択するという戦略を取った場合の
人狼側と市民側での有利不利について確率を計算しました。

プレイする人数によって、どうしても有利不利が偏ってきますが、
ランダムな処刑は、基本的には人狼側有利となることがわかりました。

市民側は、上手く役職等からの情報を使って、ランダムな処刑にならないようにしないといけませんね。

また、よく使われている配役が、実は、アンフェアかもしれないということも見えてきました。

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