クイックノート

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天気が西から東に変わるという話

この前、妻と次のようなやりとりがありました。
妻「最近急に雨降ること多いから、雨雲レーダーアプリ入れた!」
私「じゃあ西側の雨雲見とけば良さそうだね」
妻「なんで西側?」
私「雲は西から東に動くからね」
妻「ふーん」

天気が西から東に向かって変わるというのは常識的な話だと思っていたのですが、
知らない人もいるようですね。

そこで、なぜ天気が西から東に変わるのかを説明してみましょう。

偏西風のせい

最初に答えを言ってしまうと、
偏西風によって雲が西から東に流れるから、
多くの場合、日本の天気は西から東に向かって変わっていきます。

偏西風とは、日本の上空に吹いている西風(西から東に向かう風)です。
学校で学んで記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。
一方で、偏西風がなぜ吹いているのかは、
意外と知らない人も多いのではないでしょうか。

なぜ偏西風が吹いているのか

天気が西から東に変わる原因は偏西風ですが、
なぜ西から東に向かって風が吹いているのでしょうか。

その理由は次の二つです。

  1. 南北の温度差による大気の循環
  2. 南北方向の大気の循環が自転の影響によって曲がる

順にみていきましょう。

南北の大気の循環

地球では、赤道付近の気温が高く、
北極・南極付近の気温が低くなります。

空気は温められることで、膨張し上空へ昇っていくため、
赤道付近では上昇気流が発生します。
逆に、北極・南極付近では下降気流が発生します。

この南北の温度差で空気が大きく移動する循環が生まれるのですが、
単純に、赤道で昇って北極・南極で降りるだけにはなりません。

実際には下の図のように、
赤道で昇った空気は北極までたどり着く前に下降し、
北極付近で下降した空気は赤道にたどり着く前に上昇します。

その間に挟まれた領域では、
南側に下降気流、北側に上昇気流が生じていて、
地表付近では南から北に向かって大きな大気の流れが生じます。

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大気循環の略図

この南から北に向かう大気の流れが、
日本上空の雲の流れに影響を与えることになります。

自転による曲がり

上の話だと、風は南風(南から北に向かう風)になり、
一見、偏西風とは関係なさそうに思えます。

ところが、この南風が地球の自転の影響を受けることで、
西風に化けるのです。

コリオリの力

地球のように回転しているものの上で行われる運動には、
コリオリの力と呼ばれる力が働きます。

コリオリの力については、下の動画を見ると雰囲気を掴みやすいと思います。

北半球では、コリオリの力によって、
進行方向に対して右向きに曲がって動くようになります。

南風から西風に

南から北に向かう風が、 コリオリの力を受けると、どのような風になるでしょうか。

コリオリの力は北半球では右向きに働くので、
北を向いた時の右手方向、つまり、東側に力が働くことになります。

南から北に向かう大気の流れは、
コリオリ力によって、西から東に向かう方向に傾けられます。

この傾けられた大気の流れが偏西風の正体です。
そして、この風が雲を西から東へと運び、
日本の天気を西から東に向かって変えているのですね。

まとめ

常識の一つである「天気は西から東に変わる」の理由を、
掘り下げていく形で説明してみました。

これで天気は西から東に変わるが頭から離れなく... なることを祈ります。

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