児童相談所が独断で親と子供を切り離すことのできる
「一時保護」ですが、
あまりにも強力な権限のため、
2ヶ月という上限が設けられています。
2ヶ月を超えて一時保護をしようとする場合は、
一度、家裁にその許可を得なければいけないことになっています。
ところが、この2ヶ月の上限には、
法律上の抜け道があって、
実際には、児相の独断で、
半年程度は一時保護することが出来てしまいます。
児相の独断のため、
本来必要ない親子の分離という過ちを犯す可能性も十分にあります。
そのような誤った分離をされた親子にとっては、
たとえ2ヶ月でも長いのに、
さらに児相の独断で半年以上も分離されたらたまったものではありませんね。
ここでは、どのような法律の穴を潜って、
児相が裏技的に一時保護を延長するのかについて見ていきましょう。
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一時保護の2ヶ月上限
一時保護の上限は、児童福祉法33条3項に、
前二項の規定による一時保護の期間は、 当該一時保護を開始した日から二月を超えてはならない。
と定められている通り、原則2ヶ月で定められています。
一時保護の延長
2ヶ月を超えて一時保護を行う場合については、 続く4項、5項に記載されています。
○4 前項の規定にかかわらず、児童相談所長又は都道府県知事は、 必要があると認めるときは、引き続き第一項又は第二項の規定による 一時保護を行うことができる。
○5(一部) 前項の規定により引き続き一時保護を行うことが 当該児童の親権を行う者又は未成年後見人の意に反する場合においては、 児童相談所長又は都道府県知事が引き続き一時保護を行おうとするとき、 及び引き続き一時保護を行つた後二月を超えて 引き続き一時保護を行おうとするときごとに、 児童相談所長又は都道府県知事は、 家庭裁判所の承認を得なければならない。
とあり、家裁の承認を持って、
2ヶ月を超えた一時保護ができることがわかります。
なので、児相が一時保護を行う場合、
2ヶ月までは無条件で一時保護を続けることが出来ますが、
それ以上の一時保護を行うためには、
家裁の承認が必要ですよということです。
ここに家裁が挟まることによって、
児相の暴走を止めることができるように思われるのですが、
実は、家裁が挟まるまでに一時保護を
延ばすことができるようになっています。
家裁の承認を待たない延長
上で見たように、一時保護の延長には、
家裁の承認が必要とされているのですが、
実は、家裁の承認を得ずに一時保護を延長する裏技があります。
それは、入所措置の申し立てを家裁に提出するという方法です。
児童福祉法33条5項には次のような例外が設定されています。
○5(続き)ただし、当該児童に係る第二十八条第一項第一号若しくは第二号ただし書の承認の申立て又は当該児童の親権者に係る第三十三条の七の規定による親権喪失若しくは親権停止の審判の請求若しくは当該児童の未成年後見人に係る第三十三条の九の規定による未成年後見人の解任の請求がされている場合は、この限りでない。
ここで出てくる28条とは、
施設への強制的な入所を家裁に申し立てるというもので、
この入所が認められると、さらに2年間、
親と子を分離することができるようになります。
この施設入所が家裁に認められれば、
一時保護(2ヶ月)→施設入所(2年)へと切り替わるのですが、
家裁での審判までの間を補うために、
一時保護の延長を、家裁の承認をえずに行えるのです。
一見まともな処置のように見えますが、
一般に家裁の審判には3ヶ月程度の時間を要します。
つまり、家裁が判断を下すまでの間に、
一時保護(2ヶ月)→一時保護延長(約3ヶ月)→家裁の審判→施設入所 or not
約5ヶ月の一時保護が出来てしまいます。
さらに、家裁で入所が認められなかったとしても、
児相が控訴して、高裁での判断も仰ぐことになれば、
さらに約3ヶ月の間、一時保護が延長されることになります。
ここで、問題となるのは、
本来、家裁の承認を持って2ヶ月を超えた一時保護が可能になるはずが、
入所措置の申し立て、および、審判に対する控訴という、
児相の意思決定のみで、半年以上の一時保護が出来てしまうことです。
児相の戦略
とにかく長い間、親と子の分離をしたいと思った児相は、
次のような戦略に出てきます。
家裁で入所が認容される場合:2年5ヶ月ほどの分離
一時保護(2ヶ月)→ 家裁申し立て → 一時保護延長(役3ヶ月)→入所認容→施設入所(2年)家裁棄却→高裁で入所が認容される場合:2年8ヶ月ほどの分離
一時保護(2ヶ月)→ 家裁申し立て → 一時保護延長(約3ヶ月)→入所棄却→控訴一時保護延長(約3ヶ月)→入所認容→施設入所(2年)家裁棄却→高裁棄却の場合:8ヶ月ほどの分離
一時保護(2ヶ月)→家裁申し立て→一時保護延長(約3ヶ月)→入所棄却→控訴一時保護延長(約3ヶ月)→入所棄却
つまり、児相は自分で一時保護して、自分で入所措置の申し立てをして、
自分で控訴すれば、どんなに短くとも約8ヶ月の間、
親と子供を分離することが出来ます。
上を見れば、家裁や高裁がどんな判断を下そうと、
児相の決定のみで、一時保護を半年以上に延ばすことができる
というカラクリが一目瞭然と言えるでしょう。
まとめ
一時保護の恐ろしいところは、
その開始が児相の独断でできることだけではなく、
その延長ですらも裏技的に児相の独断で出来てしまうところです。
本来であれば、半年以上の一時保護には、
家裁の承認が2,3回は挟まるべきとこなのに、
法律の穴を潜れば、児相の独自の判断のみで、
出来てしまうことがわかります。
悪法もまた法と言いますが、
ここまで露骨に穴が用意されていて、
児相もこの悪用が常態化されているのは、
大きな問題ではないでしょうか。