クイックノート

ちょっとした発見・アイデアから知識の発掘を

同じ業種の企業が似ている理由

就活する学生の悩みの一つに、
「○○関係の仕事がしたいんだけど、
 A社もB社も同じようなことやってて、
 なぜ、『A社を選んだんですか?』と聞かれても困る」
というものがあります。

確かに、「A社って〇〇やってるんだ」と思っても、
「あれ、B社も○○やってるじゃん」ってことはよくあります。

なんなら、面接で、
「志望理由聞かれて、御社の〇〇に興味があって~」と言ったら、
面接官から、
「〇〇ならB社でもやってるよ」と返ってくるなんてこともよく聞きます。

確かに、同じ業種なので、似るのはしょうがないのですが、
やってることがほとんど重なるレベルで似てしまうのは何故でしょうか。

そこには「ホテリング効果」と呼ばれる経済学の現象が関わっています。

ホテリング効果

次のような状況を考えてみましょう。

駅を挟むように二つのお店、A店とB点があります。

f:id:u874072e:20190124162835p:plain

ある日、A店の店長は、 「駅には、人が集まるので、駅の近くに店を移転しよう」と考えました。

すると、店長の狙いは当たり、
A店には沢山のお客さんが来て、大繁盛となりました。

f:id:u874072e:20190124163041p:plain

その様子を見ていたB店の店長は、
「駅の近くに店を移転したほうが良さそうだ」と思い、
移転させることにしました。

f:id:u874072e:20190124163241p:plain

すると、B店の客は増えましたが、
A店の客も何人かがB店に流れてしまったので、
A店の客が少し減ってしまいました。

そこで、A店の店長は、
「もっと駅の近くに移転しよう」と考えます。

このようなことを繰り返しているうちに、
結局、A店もB店も駅のすぐ傍に店を開くことになったのです。

上の例の場合は、店の特徴が駅からの距離でしたが、
店同士が顧客を取り合っている内に、
どちらも駅のそばで営業するようになり、
店の個性が失われました。

このように、競合する企業が同じような行動を取る現象を、
ホテリング効果といいます。

企業の違いが見えないのはホテリング効果のせい?

就活生が企業の違いを上手く整理できないのも、
このホテリング効果のせいだと思うとなんとなく納得ですね。

結局、同じ業種の中で競争していると、
どこかの企業で成功したことは、
他の企業も負けじと同じことをするので、
最終的には、企業間の違いがなくなってしまうのでしょう。

どこに違いを見つければいい?

企業同士が似てきてしまうとはいえ、
「なぜうちの企業を選んだのか」という質問を避けることはできません。

では、どこに違いを見つければいいのでしょう。

上のホテリング効果の例では、
最終的には、同じ場所で店を開くことになっていますが、
そこに至るまでには違いがあります。

例えば、最初に駅に近づこうとしたのはA店の店長ですし、
A点は駅の西側、B点は駅の東側に最初の店を開いたという違いがあります。

つまり、同じようなことをし始めるまでの経緯の中には違いがあるのです。

これは、企業の歴史はそれぞれの企業の特徴があるということだと考えることができます。
また、その歴史の中で培われてきた企業の風土なども、違いを見つけやすい部分かもしれません。

まとめ

企業がだいたい似たようなサービスを提供し始めるのは、
ホテリング効果が示唆するように仕方のないことです。

ただ、それぞれの企業が歩んできた歴史や、
そこで形成された風土などはやはり違うものであるはずなので、
まずは、見つけやすいところから違いを見つけていくのが良さそうですね。

プライバシーポリシー